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前ページ次ページBRAVEMAGEルイズ伝 第一章~旅立ち~ その4 登場!宿敵(?)ギーシュ 荒れ果てた教室、煤けたピンクブロンド。 ミセス・シュヴルーズから“錬金”をするように指示されたルイズが起こした惨状である。 ムサシと手分けして教室を片付けているが、その表情は暗い。 主が塞ぎ込んでいるのを見たムサシは、そのあまりに沈んだ様子を見て気を効かせ声をかける。 「なあルイズ。一度や二度失敗したくらいで、クヨクヨすんな」 「……何よ」 「魔法だってたくさん修行すりゃそのうちできるようになるはずさ」 「ッ、あんたみたいな子供に、何がわかるのよ!」 ルイズが奥歯をギリリ、と噛み締める。 持っていた箒を足下に叩きつけた。 あまりの剣幕に驚くムサシは、きょとんとした眼でルイズを見つめる。 「そりゃおいら魔法のことはてんで知らねえけどよ。 学校で皆がやってることなら、なんべんも修行して─」 「……勉強なら誰よりやってる、練習だって何回もしてる! 練習でいつも傷だらけ、血だって流したわ!なのに全ッ然成功しないの!!」 溢れんばかりの涙を瞳に溜めて、ルイズは怒鳴った。 荒い息を抑えようともせず、尚も続ける。 「何をしても爆発!使える魔法なし!成功率ゼロ!だから“ゼロ”のルイズ!」 「……」 「それでやっと使い魔召喚が成功したと思ったら、あんた、みたいな、子供、だしっ……」 いつしかルイズの眼からぼろぼろと大粒の涙がこぼれ出す。 誰にも言えない、そんな感情をルイズは涙といっしょに零してしまったのだ。 もう、嫌だった。 全身の力ががくり、と抜ける。 「もう……いいわよ……どうせ、私は死ぬまでずっと、ゼロのまま……」 「何言ってんだ、皆にあのまま言われっぱなしでいいのかよ、ルイズ!」 「……もう、ダメよ私なんて……!!……運命には、逆らえないわ」 「─そんな運命なんて、クソくらえだっ!!!」 力なくへたりこむルイズの言葉を、今まで黙っていたムサシが遮る。 顔を上げると、そこには眉を釣り上げるムサシの顔があった。 「おいらが、なんとかしてやる」 ムサシは、刃を抱いて生きる兵法者だ。 大人でもまして色男でも無い、女性の気持ちなど理解できようもない。 出てきた言葉は、少々強引で不恰好だった。 「……チビのあんたに……何が、できるのよ! どうせ……皆といっしょに、私が失敗するたび……影で嘲笑う、そうに決まってる!」 「がんばる奴を、どうして笑わなきゃなんねえんだ!!」 半ば怒声に近いムサシの声が再び教室に響く。 しかしムサシの強い言葉に、ルイズはどこか心が落ち着いき、涙が引っ込んだ。 ぐしぐしと顔をこする主人に向き直り、とりあえずムサシはその場にあぐらをかく。 そうして、持っていた箒をぶんっ、と振りおろす。 「いいかルイズ」 「……何?」 ぴた、とこちらに向けられた箒にルイズは何と言えばいいか、威圧されて押し黙った。 膝を抱えて、目線を合わせるように座り込む。 いつのまにか、ルイズはムサシの目を見て話すようになっていた。 「おいらに技を教えてくれたヤツの一人に、ニックって騎士がいたんだ」 「?」 「そいつは、来る日も来る日も薪割りしてやっと騎士になった。騎士になってからも、薪割りばっかりしてた」 「……薪割りが何だっていうのよ」 「毎日してた薪割りが、ニックに“技”を編み出させたんだ」 「……技?」 言うと、ムサシはおもむろに立ち上がりルイズに歩み寄る。 叩きつけられた足下の箒を手に取り、両手に一本ずつ握りしめた。 “二天一流” ムサシの編み出した極意、俗に言う二刀流の構えであった。 その構えをとったムサシに、ルイズは言い知れぬ気迫を感じる。 虚空に向けて剣をゆらり、と動かす。 その刹那、右手で一閃、二閃と箒が唸った。 傍らのルイズに、その勢いがビリリと伝わる。 「……せいっ!」 そして、左手の一撃。 目の前の薪を、ささくれ一つ残さず完膚無きまでに両断するまでに極められた剣。 曰く、薪割りダイナマイト。 ルイズの髪が勢いでふわりと巻い上がった。 その余りの剣気に、いつしか悲しみはどこかに吹っ飛んでしまっていた。 「薪割りが、この技を生み出させた」 「……あ、う、うん」 「その騎士も、おいらも毎日剣を振ってる。ルイズは振るのをやめるのか?」 ムサシの言葉に、ルイズはハッとする。 自分が成してきた努力を、少年はその手に振るう剣に例えて肯定している。 ルイズに精一杯の激励を贈っているのだと。 「おいらは剣しか知らないし、魔法はどうだかわからねえけどさ。 毎日修行して、ルイズもおいらと一緒にもっと、強くなろうぜ!」 「……ムサシ」 ずっと、そういう言葉を求めていたのかもしれない。 自分の努力を家族以外にこうして面と向かって肯定してくれる人がいる。 一緒に。 その言葉を投げかけ、側に居てくれる。 それだけで、ルイズの胸がじんわり温かくなった。 目頭もまた、かっと熱くなる。 「……あ、あんた、私より、ち、小さいくせに、生意気言ってんじゃないの!」 「顔くらい拭けよ、眼真っ赤じゃねえか」 「うるさーい!……ほら片付ける!」 ムサシの顔を見ていられなくてごしごしと顔をこする。 空気の読めない奴ねとぶつくさ言うも、その顔はどこか嬉しそうだった。 「何だよまったく、おてんばめ。やっぱ姫みてえだ」 ぶつくさ言いながらもせっせと一所懸命片付けるムサシ。 自分の部屋もフィギュアで散らかさないし、歳の割にはマメなのだ。 「……あ、あと……みっともない所を見せたわね……忘れなさい!今のは!」 「気にすんなって、生きてりゃいろいろあるさ」 「……あんたって。子供とは思えないこと言うわね、ホント」 目の前の少年が急に自分の姉達と同年代ほどにも思えて、ルイズは不思議な感覚を覚えた。 まったく、大人ぶっちゃってとぶつくさ言いながら教室の片付けを済ませて扉を閉める。 時間を見ると、急いで食堂へと向かった。 「……子供とは思えない、か」 教室を二人で整えるころには、昼休み開始の時間になっていた。 ムサシはルイズの後に続くようにして食堂へ向かった。 今朝と同じく賑わう食堂には大勢の生徒が既に着いている。 「じゃ、おいらはちょっとメシ食ってくらあ」 「え、ちょっと。あんたどこ行くつもりよ」 「料理人のおっさんと仲良くなったんだー!」 嬉しそうな顔をして厨房へ駆けていくムサシに、ルイズは声をかけられなかった。 よくよく考えてみれば使い魔の単独行動を許してしまった。 「……大人っぽいと思ったらこういうところが子供なんだから!勝手ばっかり!もー!」 先程の功もあるとは言え、主従関係をはっきりさせておかねばならないだろう。 ルイズは話を聞かない使い魔に地団駄を踏んだ。 「……せっかく分けてあげようと思ったのに……」 ムサシも罪な男である。 「うめえ、やっぱりシエスタが作った握り飯は最高だぜ!」 「ふふ、そう言ってくれるとうれしいな」 「まったくだ!明日からのメニューに追加するしかねえな!ガッハッハ!!」 むしゃむしゃと最高水準純白のお米を貪るムサシ。 シエスタが振る舞ったおにぎりで厨房は一大米ブームとなった。 そして、翌日からの食卓に並んだ白い塊に、生徒たちは大熱狂。 後の米騒動である。 「ごちそうさん!……さてと、タダ飯食らいじゃおいらの気がすまねえ!何か手伝える事はないかい?」 「そんな、いいのよムサシくん」 「おおよ!子供が気を使うもんじゃないぜ!」 豪快に笑うマルトーだが、ムサシは首を横に振る。 「いや、男として、武士として!恩を貰いっぱなしってのは沽券に関わるぜ!」 「まったく、ご主人様以外に餌付けされて……あれでも使い魔かしら」 ぷりぷり怒りながら食事を済ませるルイズ。 近くで座っていたマリコルヌが豚の姿焼きをかすめ取られて泣いていた。 「……?何か騒がしいわね」 ルイズが辺りを見回すとなにやら騒々しい。 人混みの中心に向かう。 そこに居たのは、泣きそうなメイドとキザったらしい同級生。 そして彼女の使い魔だった。 「子供のやったこととは言え、許しておけることではないよ!君! 二人のレディの名誉が、傷ついたんだ!」 「申し訳ありません!」 「シエスタ!謝ることないぜ!」 もう人ごみを掻き分けて行く途中で頭が痛くなった。 あの生意気極まりない使い魔は一日一度はルイズの頭痛のタネになる決まりでもあるのか。 ムサシとギーシュは、真っ向から睨み合いをしていた。 事の顛末はこうだ。 ムサシは昼食を済ませた後、忙しい中食事を用意してくれた恩としてデザートを配膳する手伝いをしていた。 そこでシエスタと言うメイドと一緒に食堂をうろつく途中、ムサシが香水のビンを拾い上げたのだという。 落とし主はギーシュ。 親切心から拾い上げたそれを、彼は突っぱねたのだと言う。 しかしその事が切っ掛けにギーシュの浮気が発覚。 下級生のケティと、同級生のモンモランシー二人の女子が登場。 ギーシュの両頬には真っ赤な椛が刻まれたらしい。 そしてその理不尽な怒りの矛先は、平民の小僧の分際でお節介にも落としたビンを拾った─ 「君のせいだよ!?謝ったって許されることじゃあない!」 「はっ!おいらに謝るつもりはねえぜ!女にだらしねえお前が悪いんじゃあねえか!」 「その小僧の言うとおりだギーシュ!」 「お前が悪い!」 あたりはどっと笑いで包まれた。 ギーシュの頬が熱いのは、殴られただけが理由では無い。 「く!君、年長者ならしっかりと子供のやることに眼を……」 「まちな!また女に手を出すつもりか?シエスタは関係ないぜ!」 「ムサシくん、だめ!貴族にそんな言葉を─」 群がった生徒達はもう膝を叩いて笑う者までいた。 この鼻持ちならない子供、何者─ と、ほんの少しの冷静さを取り戻し考え、そしてギーシュは薄く笑った。 ムサシの片眉が釣り上がる。 「思い出したよ……あの"ゼロ"の召喚した、の物乞いか」 「なんだって?」 「いやなに、確かにこちらもゼロのルイズ"ごとき"の使い魔にカッとなるなんて……恥ずべきかもしれないね。 なにせあの主人だ、使い魔への躾もまともにできるわけがない。取り合うほうが愚かだったということさ。 もっとも、魔法一つ使えない"貴族の恥"にはピッタリの使い魔なのかもしれないがね」 ルイズは自分にまで悪口が飛び火し始めたのを見て、顔を顰める。 本人がいるとは露知らずなギーシュのその罵詈雑言、いつもよりもことさら辛辣だ。 しかしその言葉に、ルイズは怒りよりも悲しみが先立った。 言うとおりなのかもしれない。 先程までの自分も言っていたように─ (私は死ぬまでずっと、ゼロのまま) しかし、その考えをやはり打ち砕くのは彼女の小さき使い魔だった。 「ふざけんなっ!!」 「……何だね?」 ムサシは激昂した。 貴族がどうのではない、ムサシは感情を抑えきれなかった。 目の前の男は、自分と共に修行をし、変わりたいと願うルイズを愚弄したのだ。 「あいつが貴族の恥だって!?冗談じゃねえ、おいらから見りゃ、立派な貴族ってのはルイズのほうさ!!」 「ほう、君が貴族を語るのか!?面白い!せいぜい主人の肩を持つがいい!」 ムサシが思い浮かべたのは自分を召喚した二人……姫、そしてルイズ。 そのどちらであれ、高潔な魂を汚す事は許されないと、その想いがムサシに行動させた。 「あいつはお前なんかよりずっと真剣に貴族をやってらい!馬鹿にするっていうなら、許さねえ!!」 自分のことで真剣に怒っている。 そんなムサシを見て、ルイズは居ても立ってもいられない。 「ムサシ、やめなさい!」 「ルイズ!」 「……だいたい聞いてたから。馬鹿にされるなんて、いつものことだから……いいから。 ……だから、ギーシュに謝んなさい、怪我するだけよ」 ルイズは静かに言い放つ。 確かに悔しかった、唇をぎゅっと噛み締める。 だが、この優しくて、まっすぐな使い魔を、今は傷つけたくなかった。 ドットとは言えメイジのギーシュに眼をつけられては、どうなるか。 自分一人傷つけばいいと、ルイズは悲しみを堪えてムサシを制した。 その顔を見て、囃し立てていた連中も、ギーシュでさえも押し黙る。 もっとも、ギーシュはここまで来た手前今更引き下がりそうもなかったが。 しかし、ムサシはルイズの制する手を、ゆっくりと払う。 「うっせえ!!決闘だ!!ルイズに謝れ!!」 前ページ次ページBRAVEMAGEルイズ伝
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ルイズ(☆2) 基本選手能力 打撃能力 守備能力 ミート D 12 捕手 C 15 パワー D 10 一塁 勝負強さ C 15 二塁 バント C 15 三塁 走力 C 14 遊撃 肩力 A 24 外野 B 17 盗塁 C 13 盗塁阻止 A 23 熱オフ平均成績 ※本塁打、打点、四球、三振、犠打、盗塁、失策は500打数換算での平均値 ※データは第24回~第30回のもの 使用者 打率 本塁打 打点 出塁率 四球 三振 犠打 盗塁 失策 OPS 30名 .224 2.9 37.7 .278 37.2 64.3 7.3 5.2 5.2 .561 獲得タイトル(打撃タイトル) 回数 タイトル リーグ 所属チーム 備考 データ未集計 獲得タイトル(ベストナイン・GG・MVP) 回数 タイトル リーグ 所属チーム 備考 データ未集計 トピック 肩と盗塁阻止力が妙に高いが、熱スタオフラインのルールでどの程度機能しているかは不明。 チルノと同じくコスト☆1、OPSもコスト相応。犠打と盗塁はちょっぴり高め? 外野適性はそれなりなので、低コストの守備固めとしては悪くない。
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場所は変わって、トリステイン魔法学院の学院長室では決闘の一部始終遠見の鏡で見ていたオールド・オスマン学院長とコルベール先生がいました。 「伝説の【ガンダールヴ】か・・・」 オールド・オスマンは目を瞑り深いため息をつくと徐にコルベールに尋ね直しました。 「ミス・ヴァリエールの使い魔のルーンと伝説の記録に間違いは無いのじゃな?」 「はい、オールド・オスマン学院長。私もこの決闘を見るまでは半信半疑でしたが・・・」 額に光る汗を拭きながらコルベールは続けます。 「あらゆる武器を使いこなし、無敵の鎧を身に着け・・・巨人にもなったと言われております・・・。これは早急に王室に連絡した方がよろしいかと思われますが」 「いや、それには及ばんじゃろう」 コルベールの言葉にこう答えたオールド・オスマンは水パイプを手に取ると口へ運びながらこう続けました。 「王室貴族の阿呆どもにこの事を知らせればどうなるか・・・わかるじゃろ?」 コルベールは「あっ!」と気がつき再び汗を拭い始めました。 「どうせ研究と称して王室に連れ去り戦争でもおっぱじめるに決まっておるわい。そうなれば未来あるうちの生徒も悲劇に見舞われるじゃろうて」 苦々しく語るオールド・オスマンにコルベールも同意しました。 「まぁ、王室貴族連中なぞ煙に巻くのは慣れておるわい。それに・・・」 遠見の鏡を見ながらオールド・オスマンは呟きました。 「心優しき使い魔にはワシもちと興味あるしのう」 その日の夜、ルイズはベッドの中で今日の事を思い出していました。 失敗魔法で落ち込んでいた所を慰められた事 おとーさんの比類なき強さ 決闘相手だったギーシュさえ傷つけなかった優しさ ギーシュが傷つけた二人と私へギーシュに謝罪させた思いやり 手を繋いだ時のぬくもり・・・ ルイズは部屋に帰った後、おとーさんに明日の虚無の曜日に街へ出て武器を買い物する事を提案しました。 今日の出来事でルイズとしては何かおとーさんに買ってあげたかったのです。しかし、おとーさんは武器は要らないと断ったのでした。 たしかにあれだけ強いおとーさんですから必要ないかとルイズは考えしょげていました。 そんなルイズを見ておとーさんは少し考えると明日自分のうちに招待したいと言ってきました。突然の申し出に戸惑いましたがルイズは行くことにしました。 「使い魔の家に行ったメイジなんて私が初めてだろうなぁ~」 すでにおとーさんが家に帰った部屋でポツリとそう呟くと、ルイズは何故だが可笑しくなってきて一人でクスクス笑い始めました。 その時、扉をノックする音が聞こえました。扉を開けるとそこにはキュルケとタバサが立っていました。 「ななな、なにしに来たのよ」 「別に~、ちょっとあなたの使い魔に興味があったから来たのよ」 「私も興味ある」 あからさまに嫌そうにしているルイズをよそにキュルケとタバサはズカズカと部屋に入ってきます。 「ちょ、ちょっと勝手に入らないでよ」 「いいじゃない。使い魔は・・・おとーさんだっけ?どこよ?」 部屋をキョロキョロさがすキュルケとタバサに諦めたルイズはため息をつくと正直に言いました。 「おとーさんなら帰ったわよ」 きょとんとするキュルケとタバサ、その直後キュルケは吹き出しました。 「アハッ!あんた使い魔に逃げられたの?」 ムッとするルイズはキュルケの言葉を否定しました。 「ちち、違うわよ!!毎日家に帰ってるの!明日の朝にはまた来るのよ!!」 ルイズの言葉に「へっ?」と間抜けな顔をして答える二人でしたがすぐに興味津々な顔をして根掘り葉掘りきいてきました。 結果、部屋についているもう一つのドアについて詳しく説明する事になりました。 説明の後、どういうわけかキュルケは中を覗くと言い出しました。 タバサはプライベートを理由に、ルイズはいつしかの夢の事が頭によぎり止めようとしましたがキュルケは聞かずにドアに手をかけました。 「ちょっとだけ。ちょっとだけだから」 キュルケがドアを少し開けて中を覗いていました。すると、ドアの向こうで誰かがくしゃみをするのが聞こえました。 その後、ルイズとタバサは気絶したキュルケを部屋まで運ぶのでした・・・
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基本情報 名 前 ルイズ・アルジェント [Louise Argento] 性 別 女 年 齢 23歳(*1) 分 類 一般住民 身 長 168cm 体 重 48kg 職 業 ゼブロン辺境伯令嬢 誕生日 10/24(蠍座) 一人称 私 住 所 アガルタ島・北エリア 呼び方 身内(家族・使用人・ヨハン家)と子供以外はさん付け アガルタ島の町長アルノルトの娘で、リアの姉。幼い頃から身体が弱く、滅多に家から出る事は無い。上品でどこか儚い雰囲気を持った女性。 詳細情報 登場時期 はじめから 家族構成 父アルノルト、母アルバ(故人)、妹リア、婚約者ジェスロ(故人)(*2) 好きな色 白、銀、水色 趣味特技 読書、お菓子作り、音楽鑑賞 担当楽器(*3) ピアノ・オルガン(*4) 性 格 物腰柔らかく上品で、落ち着いた雰囲気の知的な女性。 仲良し 使用人、ヨハン家、ジェイ、ジル、クララ、ノーラ、シオン、マヤ等 不 仲 マシュー(*5)、デズモンド、エース、バルトロ ~行動パターン~ 基本的に家から出る事は無いが、晴れた日曜は教会の典礼に参加している。二章終了後は教会や役場等、少しずつ外へ出る姿が見られる。尚、リアが結婚した後はアルノルト、ケイトと交代で役場の受付に立つようになる。ブラッドと結婚後は二人で出歩く姿が見られるように。 ~略歴~ 生まれつき身体が弱く、都会で勉強する予定だったが計画が頓挫。メイザース邸でジェイや後の婚約者ジェスロと共に勉学に励む。この時ジェスロの親友でメイザース邸庭師の息子ブラッドとも出会い、親交を深めている。 ルイズ5歳の時にリアが誕生するが、母アルバの体調が悪化。ヨルダ一家と共にジェスロとブラッドが町長家にやってくるが、翌年アルバが亡くなる。その時心の支えになってくれたジェスロと婚約。体調も快方に向かう。 しかし二年後、連絡船事故でジェスロを亡くす。一度は回復しつつあったルイズの体調が一気に悪化する。 タイガやミハルの活躍で島に活気が戻った頃から体調が改善、長く傍で支え続けてくれたブラッドと結婚する事になる。以降は町長を継ぐため、精力的に活動するように。(*6) 好き + クリックすると開きます 大好き:タマゴカブのミモザサラダ、カブとサケのクリームシチュー、キッシュ、トマトのカプレーゼ、トマトフルーツサラダ、生ハムとリンゴのサラダ、ブロッコリーの温サラダ、大地の根菜サラダ、チョコクッキー、チョコテリーヌ、薬膳スープ、月映る黄金スープ、紅茶のパウンドケーキ 好き:野菜&フルーツ全般(ニンニク&トウガラシ以外)、ミルク(加工品も)、ハチミツ、秋の愛(花束)、アルタイト(アクセサリは×)、ナルリリー、ルナフラウ、シライトソウ、ライラローズ、シルバーカラント、カシュナ、アスパラのバターソテー、大好物以外のサラダ類、オランジェット、コーンポタージュ、スイートポテト、カボチャのスープ、焼きナス、アップルパイ、キャロットラペ、ホウレンソウのおひたし、青汁、クッキー、ハーブブレッド、森のキノコシチュー、キノコ汁、キノコのバターソテー、ハーブティー全般、ボンゴレビアンコ、刺身、魚の香草焼き、アユのマリネ、アジのカルピオーネ、鶏ハム、生ハムのユッケ、紅茶類(茶葉も○)、カシュナのポプリ等 苦手 + クリックすると開きます 苦手:塩辛、脂っぽい食べ物、コーヒー類 大嫌い:こがねの香水以外の香水全般、酒類全般(二章クリア後はフルーツで作った酒、ワイン、カクテルは普通になる)、宝石や鉱石類(アクセサリ含め受け取らない)、キムチ、ワスレナグサ、ニンニクの丸焼き、辛い物全般 意外と嫌いなものは少ないが、好感度は非常に上がりにくい。毎日一日も欠かさず好きなものをプレゼントして、三年目が終わる頃にようやく好感度がMAXになるイメージ。(*7) イベント ※準備中 + ... イベント名1 説明 イベント名2 説明 イベント名3 説明 イベント名4 説明 イベント名5 説明 イベント名6 説明 イベント名7 説明 イベント名8 説明 イベント名9 説明 イベント名10 説明 イベント名11 説明 イベント名12 説明 パーソナル詳細 ※この項目については表の関係でPCからの閲覧を推奨します + クリックすると開きます 個人形成・性格 積極的⇔消極的(性格) どちらでもない 強気⇔弱気 どちらでもない 神経質⇔無神経 やや神経質 繊細⇔粗野 繊細 勇敢⇔臆病 やや臆病 気長⇔短気 やや気長 好奇心旺盛⇔無関心 どちらでもない 健康⇔不健康 不健康 多弁⇔無口 あまり話さない 個性的⇔地味 普通 総合 自分の体と責任(立場)のギャップでやや臆病になっている。繊細で落ち着いた雰囲気。 行動 能動的⇔受動的(行動) 受動的 行動⇔計画 念入りに計画 せっかち⇔のんびり(動き) ややのんびり アウトドア⇔インドア(行動範囲) 全然出ない 勤勉⇔怠惰(勤労態度) とても勤勉 忍耐⇔諦め(目的達成) すぐ諦める 総合 体が弱く受動的&インドアにならざるを得ない。計画的で勤勉。家族や婚約者の逝去や自信の体の事など色々重なり、諦めやすい性格になった。 賢さ・思考 賢明⇔暗愚(賢さ/道理) 賢明 利口⇔馬鹿(賢さ/能力) 利口 博識⇔無知(賢さ/知識量) 博識 機転⇔愚鈍(賢さ/頭の回転) 機転が利く 博学⇔浅学(賢さ/学問) かなり博学 柔軟⇔頑固(考え方) やや頑固 直情的⇔理性的(判断) 理性的 複雑⇔単純 やや複雑 勘が良い⇔勘が鈍い やや複雑 現実的⇔空想的 現実的 総合 とても賢く、少しの情報から多くを得られる。子供の頃は侯爵家で勉強をしているため、かなり博学。非常に現実的で、地に足のついた考え方。理想主義な父を諫める事も。 対人 友好的⇔ドライ 人並み 協調的⇔排他的(友好範囲) どちらでもない 社交的⇔交流無精(友人の数) やや交流無精 親和⇔自立 自立 深慮⇔浅慮(立ち振る舞い) 深慮 一途⇔浮気 割と一途 高飛車⇔低姿勢 物腰柔らかい 支配⇔服従 やや支配的 献身的⇔利己的 やや献身的 平和的⇔好戦的 人並み 素直⇔反抗的 人並み 寛容⇔厳格 人並み 総合 人当たりは良く思いやりもあるが、なかなか外に出られず交流が出来ずにいる。上品で物腰柔らかいが、相手を従わせる何かを持つ。人の上に立つのに向いている。 思想・心理 外向⇔内向(興味関心) やや外向的 外的統制⇔内的統制 内的統制 内罰⇔他罰 内罰的 自尊⇔卑下 どちらでもない 楽観的⇔悲観的(物事の見方) やや悲観的 達観⇔盲目 達観 愚直⇔狡猾 どちらでもない プライド⇔卑屈 どちらでもない 責任感⇔無責任 責任感つよい 執着心⇔淡泊 どちらでもない モラル⇔非人道 まあまあモラル高い 強欲⇔無欲 欲が少ない 享楽⇔禁欲 やや禁欲的 加虐⇔被虐 どちらでもない 敬虔⇔不敬 敬虔的 中立⇔偏見 どちらでもない 総合 達観してるが故に、若干悲観的な所がある。責任感が強く真面目で、家族や島のために自分を抑えがち。 まとめ 上品で落ち着いた雰囲気。体は弱いが、その分知恵が回る。物腰柔らかだが、人を従わせる威厳を持ち合わせる。 一番上へ
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前ページ次ページルイズの恐竜惑星 前回から引き続き、医務室にいるルイズとラプター。 「ふーん..それじゃあ、あんたはギラグールって言う竜人の戦士ってわけ?」 「単純に言ってそういうことだ」 冷静なようだが実のところラプターは混乱していた。 彼は自分の住む恐竜人類の世界と、哺乳人類の世界、 そしてバーチャル大陸を交差点とする多次元宇宙の存在は把握している。 だがいくらなんでも魔法が文明の基盤で、なおかつ科学どころか機械の概念すらない世界など聞いた事がない。 ややこしくなるのを避けるため(というか別の世界と言っても信じないだろう)こうした言い方をしている。 「悪いけど...とても信じられないわ。だってギラグールなんて今まで聞いた事無いもの」 「じゃあこの国との接触がまったくなかったか、お前が余程の世間知らずかどっちかだな」 「...何よその態度!あんたは私の使い魔で、私はあんたのご主人様なの!」 「誰もお前に従うなんて言ってないが」 「でも契約はしたのよ!だから少しぐらい敬う気になったらどうなの!?」 「へいへいマスター。これで満足か?」 「...もうそれで良いわよ」 「それで使い魔ってのは具体的に何をする物なんだ?」 「いいわ。それじゃ使い魔というのは...」 ルイズの話を要約するとこうだ。 使い魔の役目は主に3つあり、1つ目は主人の目となり耳となること(要するに感覚を共有することらしい)、 2つ目は主人の望む物を手に入れること、そして3つ目が主人を守る事。 「それで今俺が見てる物(ルイズの顔)が見えるのか?」 「駄目何も見えない...それで2つ目は秘薬の材料のコケや鉱石を手に入れることなんだけどできる?」 「種類や特徴の指定さえあればなんとかなるだろう」 もともとラプターは指定された恐竜を狩る任務についていた。それが鉱石などに変わった位だ。 「それで3つ目は主人を守る事なんだけど...」 「戦闘なら得意分野だ」 「..そう。ならいいんだけどね...」 即答して左腕のクローを振り上げたラプターに、思わず冷や汗をかくルイズだが、内心歓喜していた。 「(ひょっとして当たりを引いたのかも..?)」 前ページ次ページルイズの恐竜惑星
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前ページ次ページ仕切るの?ルイズさん 春――ここに悩める女生徒が一人 「うーん………」 「どうしたの? そんな顔をして。」 「あ、おはようキュルケ。 いや、昨日私が召喚した使い魔の事なんだけどね………」 「ああ、あの四角い形をした使い魔ね。 ……ひょっとして何かすごい能力とか見つけたとか?」 「いや、あの憎き使い魔をどう煮ようか、どう焼こうか、どう蒸そうか………って考えてたらいつの間にか朝になっちゃって………」 「………それは大変だったわね。」 時はサモン・サーヴァントの儀式の翌日。 つまりキュルケが昨日召喚したばかりの使い魔を連れて朝食に向かう途中でクラスメートのルイズに遭遇したのである。 「ところでさ」 キュルケが突然ルイズに話題を振る。 「あなた……何か忘れ物とかしてないかしら?」 「えっ?いきなり何言い出すのよ。 私が忘れ物なんてするわけないじゃない。」 「つまり、その………」 「なっ、何よ。そりゃいつもよりぼーっとしてるかもしれないけど、私は忘れ物なんかしてないわよ! 本当よ!」 珍しくキュルケが言葉に躊躇していたのでルイズはいささか動揺していた。が――― 「じゃああなたのその格好はファッションなのよね?」 なぜか室内に冷たい風が吹いた。いつもより下がスースーした。 (あああああああーーーーーー!!!!!私、スカート履いて無い! どうりで下がスースーすると思ってたら!) 「××××恥ずかしぃーーーー!!!!」 「ルイズ………あなたが何を言っているのかあたしにはわからないわ………」 「……………」 「あっ、タバサ。おはよう。」 キュルケの挨拶を軽くスルーしたタバサは、 目の前のルイズの姿を見て一言。 「若手芸人?」 「ウケ狙いでも、罰ゲームでもないわよっ!」 むしろその方がまだマシなんじゃ………と思ったが口には出さないキュルケであった。 「あんた誰?」 「おう!俺の名前はモロヤマ1号だ! 文部科学省が生み出したラララ科学の子なのさ! もっと俺の事について知りたかったら『10万個』と10k 「ミスタ・コルベール! 今すぐこれを私の魔法で破壊します!」 「おいおい、いきなりこれ扱いなんて酷いぜセニョリータ。 これから俺はお前の使い魔になって生着替え見てはぁはぁしてやるからさ。」 「誰があんたを使い魔にするって言ったのよ!」 時は遡って1日前の春の使い魔召喚の儀式の時である。 他の2年生は難無く使い魔を召喚し、ルイズも失敗はしたが召喚に成功した。 それが、顔がパソコンのモニターの形をしていて耳には高性能っぽい何かが備え付けられていて首から下は学ラン姿のロボット、モロヤマ1号だった。 「ミス・ヴァリエール。これは伝統なんだ。 たとえ何かの臓器であっても黒タイツを履いた私そっくりのおっさんであったとしても契約が成立する。もちろん、これも例外ではない。」 「お前もこれ扱いかっ!」 かくしてルイズはモロヤマとコントラクト・サーヴァントの儀式を行った。 「なんでそこまでして俺との契約を嫌がったんだ?」 「だって………」 ルイズは頬を赤く染めてぽつりと本音を漏らした。 「契約したらあんたの馬鹿がうつりそうで………」 「うわっ、なんて失礼な。」 そして呆然としていた生徒達に向かってモロヤマはこう言った。 「お前達! 俺が超美少女ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールとチューしたこの唇と間接チッスする権利を買うとしたらいくら出す?」 「いっ、いきなり何言い出すのよあんたは!」 「全くだ。僕たちを馬鹿にするのにもほどがある。」 そう突っ掛かってきた男子生徒の名前はギーシュだった。 「そうよ! いくら男子生徒が馬鹿だからって得体の知らない何かとキスするわけないじゃない!」 「そうだよ! 間接キスと言えばラップ越しに決まってるだろうが!」 「あんた達怒るところはそこなの?」 キュルケの冷静なツッコミが飛んだ。 しかしルイズは自分の見通しの甘さに気付いていなかった。 一つは、馬鹿は自分だけでなく学院の皆にうつってしまっている事。 もう一つは馬鹿だけでなく変態にもなっている事―― 前ページ次ページ仕切るの?ルイズさん
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戻る マジシャン ザ ルイズ 進む マジシャン ザ ルイズ (11)力の解放 「どうしたのかしら、お互い動きが鈍くなったわよ」 「膠着状態」 タバサが説明するには、実力高い者同士の魔法戦において、お互いが決定打を欠いた状態になると… このようにお互いが最低限の攻撃だけを行い、相手の出方を待つ膠着戦に陥りやすいのだという。 「へーって、じゃあ、私達が援護すればおじさまの勝ちってことじゃない!」 「…無理、再生するだけ」 「えー、じゃあさ、何か考えましょうよっ!」 「何かって何よキュルケ、何かいい考えでもあるの?」 「そりゃあ……じゃあ!今から王都に戻って騎士団を呼んきましょう!」 「………」 「あんたねぇ、もうちょっと頭使いなさいよ、せめていい武器を持ってきてあげるとか」 「そんなもの、あったら直ぐに渡してるに決まってるじゃ………」 「………」 「あ………」 三人の視線の先、そこにはキュルケに抱えられた、『禁断の剣』が納められた箱があった。 「!?」 影、飛竜の羽音、強風の降臨。 ルイズ達がウルザの背後に降下してくる、飛び降りる三人。 「ミス・ルイズ!先ほど私は安全な場所に退避していていなさいと―――!」 ルイズ、自信の笑み。会心の出来の課題を提出する生徒の顔つき。 「ミスタ・ウルザ!助けに来たわ!この剣を使ってあのゴーレムをやっつけるのよ!」 その手には、不思議な形状をした剣が握られている。 握りの先、途中から二つに枝分かれしている短剣のようなもの。 「君は何を言って……待ちたまえ、ミス・ルイズ、君が握っているそれは何だね」 「これが『禁断の剣』よっ!世界の均衡を壊すほどの剣!この剣があれば、あんなゴーレムなんてすぐにやっつけられるわっ!」 それを両手で握り締めたルイズが、ゴームレを睨み、大きく振り上げる。 「『禁断の剣』よ!目の前の敵を打ち払い給え!……たああっ!」 勢いよく振り下ろすルイズ。 閃光、爆発、倒壊、それ等、状況を打開する事態、一切何も起こらず。 「………えいっ!ええいっ!どうして何も起こらないのよ!『禁断の剣』!力を発揮しなさい!」 うんともすんとも返さない。 「―――フフフフ、……ハハハ!………これは驚いたっ!ハハハハッ!」 場違いな笑い声。 デルフリンガー、シュペー卿の魔法剣を地面に突き刺し、右手で顔を抑えたウルザが、心の底から愉快そうに笑い始める。 突然の展開についてゆけず、呆気に取られるルイズ、キュルケ。 「ミス・ルイズ、それを、貸したまえ、それはそう使うものではない。 いや、それは正しくは剣などではない、しかし、正しく世界の均衡を危うくする力だ」 「ミ、ミスタ・ウルザ?」 理解出来ていない顔のルイズから、剣を受け取る。 そのままそれを、天に差し出す供物のように、高々と掲げる。左手で輝くガンダールヴのルーン。 「これは……こうするのだ!」 マナを用い、『禁断の剣』と自身の間にリンクを組む。 そしてそのリンクを、この場のでウルザ自身と結びついているもう一つの『それ』へと結びつける。 接触、接続、成功。 『禁断の剣』が、ウルザ自身のマナを注がれ、その力を正しく発揮し始める。 まず『禁断の剣』から光の紐のようなものが現れ、今もゴーレムと戦い続けている鉄の獣へと伸びていく。 ウルザが手を離す。すると、それは結びつく片方に引き寄せられるように一直線に鉄の獣に向かって飛んでゆく。 飛んできたそれを、忠犬が主人から投げられたものをキャッチするように、獣は器用に口で受け止めた。 『禁断の剣』を咥える獣、対峙する土くれの巨人。 構図は変わったが、形勢に変化なし。 「あ、あのミスタ・ウルザ?一体何を?」 「――――――」 再び、土のゴーレムと鉄の獣との戦いが始まる。 果敢に飛び掛る獣、挑戦者を打ち払うゴーレム、先ほどまでの焼き直し。 しかし、ウルザの目には、先ほどまでとの違いが、徐々に大きくなっていくのが見える。 その変化に、最初に気付いたのはキュルケであった。 「おじさま!『禁断の剣』が―――」 続いて、ルイズもその異変を察知する。 「何あれ?光ってる、の…?」 「………あの獣が攻撃するたび、光が強くなってる」 獣がゴーレムを攻撃する度に、徐々にだが確実に光を強めていく『禁断の剣』。 「見ていたまえ、これこそ、君達が『禁断の剣』と呼ぶものの力だ」 生徒に数式の解法を教える教師のような顔――ウルザ。 結びつくマナのリンクを経由し、全てを終わらせるべく、指示を送る。 唐突なる均衡の崩壊。 『禁断の剣』が一際大きな光を放つ、その中からが輝くものが多数飛び出す。 瞬間、解き放たれた光がゴーレムへと吸い込まれていくようにして消滅。 変化。 巨大な土くれのゴーレムの姿がその大きさを変容させていく。 小さく、小さく、小さく、小さく、小さく……。 30メイル、20メイル、10メイル、5メイル、3メイル、そして……消滅。 一つの戦いの、あっけない幕切れ。 一方、敵対者の消滅を見届けた勇敢な獣。 彼もまた、その使命を果たし、力尽きその動きを停止したのであった。 「う、嘘みたい!あの巨大なゴーレムが、どんどん小さくなって!最後は消えちゃうなんて!凄いわ『禁断の剣』!」 「―――ミス・ルイズあれは、」 「皆さん、お疲れ様でした」 強大な敵に勝利した実感、お互いが無事であった安堵感、そして自分達がやり遂げたという達成感に湧くルイズ達。 そんな彼女達に声をかけたのは、森の影から現れたロング・ビルであった。 「ミス・ロングビル!ご無事でしたか!」 「これで全員無事ってことね!『禁断の剣』も取り返したことですし、帰りましょう!」 「……フーケ」 タバサの的確かつ、鋭い指摘。 「おっとっと、そういえばそうね」 「そうよ!フーケはどこ!?きっとこの近くにいる筈だわ!」 「きっと、何処かに隠れているんだわ。そう遠くないはずよ」 「そうね、探しましょ」 ルイズ達が手分けしてフーケを探す為の算段の相談している中、ロングビルがゴーレムと獣との戦いの痕、残骸が残るのみとなったそこへ向かうことを誰も気にしない。 ロングビル、学院の長、オールド・オスマンの秘書である彼女が、奪われた秘宝を回収することに問題など抱くはずも無い。 「ミスタ・ウルザ、お疲れ様でした」 そして、彼女は残骸の中から『禁断の剣』を見つけ出して、ひょいと持ち上げる。 「皆さん、もうよろしいですわよ」 『禁断の剣』を手にした、ロングビルに、ルイズ達の視線が集まる。 「あなた方の役目はここで終わりです。ご苦労様でした。 『禁断の剣』の使い方も分かりましたし、もう必要ありません」 高らかなる勝利宣言。 「え!?ミス・ロングビル!?」 「どういうことなの!?」 応えるロングビル、その口元が妖しく歪む。 「生徒の質問には、答えなくてはなりませんね。 さっきのゴーレムを操っていたのは私。加えて、トリステインの城下町にメイジの盗賊も、学院の宝物庫に忍び込んだのも私。 全て、私のしたこと、これが正解です」 「なるほど、つまり君が…『土くれのフーケ』だったのだね、ミス・ロングビル」 「ええ、その通りですわ、ミスタ・ウルザ。 おっと、動かないで頂戴。私はこの『禁断の剣』でいつでもあなた達を消すことが出来るのよ。 …わかったなら、全員、武器を遠くに捨てなさい」 先ほど、自分達の窮地を救った学院の秘宝、それが今、フーケの手の中にある。 先ほどの衝撃的な結末を見ているルイズ達は、フーケの指示に従い、武装を解除するほか無かった。 生徒三人は杖を捨て、ウルザは剣も捨てる。 「ありがとう、助かったわ。 ふふふ、折角『剣』を奪ったのに、どうしても使い方が分からなかったの。 だから、実際に使わせてみて、使い方を知ろうと考えたのよ。 そうしたら、やっぱり正解だったみたいね。特にミスタ・ウルザには感謝しても感謝しきれないわ。 けれど……あなた達はもう用済みよっ!消えなさいっ!」 フーケが魔力を剣に込め、目の前の邪魔者たちを消滅させるよう、思念を送る。 「………っ!!!」 ルイズ達にとっては幸いにも、フーケにとっては不幸にも、何の変化も訪れなかった。 「…なぜ!?どうして魔法が発動しないのよ!?」 「フーケ。それは魔力を用い『装備』した上で力を溜めねばならない、能力を行使し、力を使い果たしたばかりのそれは、ただの置物に過ぎんよ」 ただ一人、結末が分かっていたように、応えてウルザ。 「それはそもそも、こちらの世界の『禁断の剣』などではない。」 ウルザがゆっくりと手を掲げる。 「解呪/Disenchant」 フーケの手にあったものが、ひび割れ、砕け、かつて『禁断の剣』であったものへと姿を変え、地面へ落ちていく。 「…それは、『神河』と呼ばれる世界の武器だ」 「な、なんてことを……」 手から零れ落ちていく残骸を呆然と見つめることしか出来ないフーケ。 「名を『梅澤の十手』という」 ―――梅澤の十手 ハルケギニアともドミナリアとも違う、神河と呼ばれる異世界。 そこで梅澤俊郎という男が、銀と鋼と魔力を用いて作ったとされる武具。 梅澤の十手は三つの力を持つ。 一つ、強化。二つ、弱体化。三つ、癒し。 その強大なる力は「神河」における神同士の争い、 「夜陰明神」と「生網明神」の戦いの行方を左右したほどであったと言われている。 これこそが、一説では、梅澤の十手が神河最高の伝説の至宝であるとされる所以である。 強すぎる力は、更なる力の介入を招く結果となる。 ―――ウルザ 戻る マジシャン ザ ルイズ 進む
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前ページ次ページルイズの魔龍伝 7.意思を持つ剣 ブルドンネ街の武器屋の中は、さほど広くない店内に乱雑に武具や防具、甲冑がひしめいており 昼間でもそこはランプが必要なぐらい薄暗かった。 「…こんなチンケ場所でさぁ、やましい事はなんもありゃしませんぜ」 カウンター奥の椅子に腰掛けた店主が先ほどとは違った真面目な声でルイズに対応する。 こんな場所に殆ど貴族は来ないのだろう、店主はルイズ達を役人かそれに関係した人物と勘違いしていた。 「何言ってんのよ、私は客よ客」 「はえぇ?こりゃあ驚いた!貴族様といったら杖を振るうって相場が決まってまさぁ! こりゃおったまげたってもんです、一体何をお求めですかい若奥様」 「違うわ、私じゃなくてこいつに合う剣が欲しいの」 軽く驚いた様子の店主にルイズが後ろに立っているゼロを指差す。 店主がフードをすっぽり被ったゼロを不審そうに見るもののとりあえず自分の中で理由をつけて納得した様子で 「へいへい、最近は土くれのフーケとかいう賊がここらを荒らしまわってるって話ですからねぇ。 従者さんに剣を持たせておくってのも悪かねぇですな。従者さん何か欲しい得物はありやすかい?」 「…剣だ、片手でも両手でも構わん」 とゼロとやり取りをした後に店の奥へと引っ込んでいった。 「土くれのフーケ…なんだそいつは」 「最近有名になってるメイジあがりの盗賊よ、土くれって名の通り壁でもドアでもなんでも 土くれにしちゃうんだってさ。ここら辺に出るなんて初耳だけど、まさか魔法学院にまでは押し入ってこないでしょ」 ゼロの質問に店に飾ってある武具を物色しているルイズが答える。 「メイジは貴族なんだろう?さっきのゴロツキもそうだがなんでそんなのに身をやつす必要があるんだ」 「親からの勘当…家自体の没落…ま、色々あるけど珍しい事じゃないわね」 「力に溺れ弱い者を虐げる…なってない奴らだな」 「『貴族は魔法を持ってその精神と為す』ってよく両親から言われたわね。 まぁ…魔法が使えない私じゃ身にやつしようがないか…」 「そうふて腐れるな、心意気は立派じゃないか」 「でも…魔法を行使できないんじゃ心意気があっても付いてきてくれる人なんていないわよ」 しばらくすると店主がいくつかの剣を抱えながら戻ってきてそれらをカウンターの上に並べた。 「この店にある自慢の品ばかりでさぁ、そうですなぁこの剣なんかいかがでやしょ?」 そう言うと置いてある一つ剣を手に取りゼロに渡す。 それは両刃の剣であり、柄に当たる部分には十字の飾りが配置されそこから左右に 扇状の飾りが蝙蝠の翼のように突き出ていた。 「その名も“鳴動の剣”!一振りすれば周囲が震える程の剣気を放つ無双の剣でさぁ! こいつがあればフーケだってたちまち切り伏せられる店で一番の名剣ですぜ!」 「(うぅむ、これは俺から見ても立派なものだ)」 フードの奥で目を光らせながら手にした剣を眺め、口に出さないながらも感心するゼロ。 「強そうじゃない、値段は?」 「エキュー金貨で六千でさぁ」 「エキュー金貨で六千!?上級貴族でもそうそう手が出せる金額じゃないじゃない! ゼロ一つ多いんじゃないの!?無理よ無理無理」 ルイズが必死に首を降るさまを見てゼロは仕方無さそうに剣をカウンターの上に戻した。 「名剣は何者にも代えがたいもんですが…じゃあこれでどうでしょうかね。 これこそはかの高名なゲルマニアの錬金術師シュベー卿が鍛えた名剣でさぁ! 何せ剣に魔法がかかってます、そこらの鉄なんて一振りでぶった切り!」 次に店主が手に持ったのは先ほどの剣と比べるとなんとも派手であり そこら中に配置された宝石がランプの光を反射して煌いていた。 「うわぁ…これも強そう、価格は?」 「こちらは新金貨三千で結構ですぜ」 「…チェンジ」 「つかぬ事をお聞きしますが、予算はどれほどで?」 「新金貨三百っ!」 価格の駆け引きもせず(した所でとうてい買える額ではないのだが)、今の剣の価格の十分の一という予算を 堂々と答えるルイズにすっかり飽きれた店主はカウンターの上の剣を片付けつつ冷たく答えた。 「そこの壁にかかってる剣なら街の衛兵も使ってる普通の剣で、二百で結構でさ」 店主が壁にかかってる剣を指差す。そこには普通の、飾り気の無い両刃の鉄剣がかかってあった。 「こんな普通の剣でも予算の三分の二も使っちゃうのね」 「それでも百余るじゃないか。俺の寝具なんて質素なものでいいんだよ」 「むぅ…剣って思ったより高いのね」 「ヘッ、ここは世間知らずのお嬢ちゃんが来る所じゃねぇよ!次はそっちのフードの奴だけで来な!」 と、何処からともなく男の、それも兜をつけて喋っているかのような金属音の入り混じった声がした。 周囲を見回すゼロとルイズだが店主以外は所狭しと並んだ武具しか見当たらない。 「うるせぇぞデル公!小額でも高額でも客は客でぇ、大事にするってもんよ!」 「なーにが“大事にする”だよ! その金貨六千と三千の剣だってどっから仕入れたかわからねぇ半分眉唾もんじゃねーか!!」 店主の顔は『特価品』と書きなぐられた紙の貼ってある、乱雑に剣の積まれた一角を向いており 声もまたそこから発せられていた。 店主と謎の声が言い争いを続ける中、ゼロがその特価品の積まれた一角を漁り一振りの剣を引きずり出す。 「今の声、これか?」 「剣って事は…もしかしてインテリジェンス・ソード?」 「そう、意思を持ち自ら喋る魔剣って奴です。どこの酔狂な魔術師が始めたんだが知らねぇですが なにもこんなオンボロまでそうしなくてもいいってもんですぜ。 口が悪い、客に喧嘩は売る、そろそろ溶かして地金にしちまおうかと考えてますよ」 ゼロが手に持っているそれは質素な拵えの片刃の長剣で丈夫そうには見えるものの、 しかし表面のあちこちに錆が浮いており実用的かと言うと少し心もとなかった。 「やってみやがれってんだ!その前におめぇさんを叩き斬ってやるよ!」 鍔元をカチャカチャと動かしながらその剣はまだ喋っていた。 造りこそしっかりしているものの、状態が良くないのと口の悪い喋りが喧しいので ゼロがその剣を特価品の一角に戻そうとした時であった。 「ん゙ー…? おでれーた、おめぇ“使い手”だな。だが俺の知ってる“使い手”とはちぃと違うな。 しかもおめぇ人じゃねぇ、かといって幻獣でもねぇ、一体何モンだおめぇ?」 「! お前は一体…」 「まぁいい、俺を買え。あんた位の使い手なら俺を使っても損はしねぇぜ」 ゼロは驚きを隠せなかった、確かにこの距離ならゼロの顔は見えるかもしれない。 しかしこの剣はゼロをはっきりと「人じゃない」と判断したのだ、只の喋る剣じゃないとゼロは直感した。 「ケッ、なんだおめぇ急に俺を買えだなんてよぉ。急に自分が可愛くでもなったか?」 「こんな剣いらないわ、さっきの剣にしましょうよ」 「店主、これはいくらだ?」 ゼロは剣を元の場所に戻すのをやめ店主に値段を聞くが、当然ルイズは嫌な声を上げる。 「これ買うのォ!?やめときなさいよこんなオンボロ!」 「どうやら俺っちの真の魅力に気づいてくれたようだな! やい娘っこ!おめーさんが剣を振るうわけじゃねーんだ、すっこんでろ!」 「確かにそうだけど…本ッ当にいいの!?こんな口の悪いオンボロ!」 「あぁ、これでいい」 ゼロの言葉に渋々ルイズは値段を店主に聞いた。 「…まぁ貴方がそう言うなら仕方が無いわ。このオンボロはいくら?」 「そうですなぁ、本当は百でやすがその二百の鉄剣を買うんでしたら五十で売りやす。 これ以上置いても売れそうに無いし、厄介払いの大幅値引きって事でどうでやしょ?」 「あの鉄剣も一緒じゃないと駄目なの?」 「へぇ、オンボロだけだと百はいただきまさぁ」 「う~ん……」 「…じゃああの鉄剣とそのオンボロ、合わせて二百五十で買うわ」 「へぇ、毎度あり」 ルイズが自分のとゼロの金貨袋から代金をカウンターにじゃらじゃらと撒き、店主が勘定をしている間に ゼロは手に持った二振りの剣の、インテリジェンスソードの方を見ていた。 「あーこんな所出られてせーせーすらぁ!俺はデルフリンガー、デルフでいいぜ!」 「うるさいと思ったらこうやって鞘に収めとけば黙りまさぁ」 「あってめ何すr」 勘定の終わった店主が鞘にデルフリンガーを収めるとさっきまでの喧しさはピタリと収まっていた。 思ったより高くついたと言わんばかりの顔をしたルイズと共にゼロはその店を後にしたのであった。 「俺は二振りも剣はいらなかったんだが…」 「だってあのオンボロ絶対なまくらよ?アンタが使ったら一回斬っただけで壊れちゃうわ。 鉄剣だけにしとけばいいのに」 「ケーッ!物を知らねぇ貴族の娘っ子が生意気な!」 引き続き裏通りを歩く二人と一振り、鞘から喋れる程度に少し抜かれた状態のデルフとルイズが 早速口喧嘩をしていた。 ゼロはデルフリンガーを大きく張り出した右肩の鎧、ライトティアースに固定し鉄剣の方は片手に持っていた。 纏ったローブから覗くライトティアースが日光に反射してブルーの光を放っている。 「言っておくけどガンダムの主人は私なのよ、つまり武器であるアンタも私に従属するわけ!」 「おい、この娘っ子が主人でいいのか?」 「問題無い」 「物好きだねぇ」 「まず、武器はアンタじゃなくて鉄剣の方を使ってもらうからね!」 「…なにおぅ!?やい、剣を振るうのはおめーさんだ、何か言ってやんな!」 「ふむ、切れ味を比べてみるか?」 「こ、こんな道の真ん中で何してんの!?」 そう言うとゼロはその場でデルフリンガーを抜き、ルイズに鉄剣を押し付けた。 後ろを向いたゼロが曲がり角の死角になっている部分に向かって呼びかける。 「コソコソとどういうつもりだ、さっきのゴロツキの仲間か?」 デルフリンガーを構え見据えていると、そこから申し訳無さそうに人影が出てきた。 「ゴメンなさいね~、別に襲うってつもりじゃなかったのよ」 「キュルケと…キュルケとよくいっしょにいる青い髪の……」 「あータバサよタバサ」 曲がり角から出てきたのは、申し訳無さそうな顔のキュルケと本を抱えているタバサであった。 「いやぁ~、偶然ゴロツキと戦ってるところを目撃しちゃってねぇ。 詠唱と杖抜きで雷を放つもんだから驚いちゃって、思わず気になって後を着けちゃったのよ」 所変わってゼロとルイズとキュルケとタバサ、カフェテラスで昼食を摂っていた。 無論ゼロは表向きゴーレムなので座っているだけで目の前には何も置かれていない。 「ふーん、あ、そ。ツェルプストー家の下賎な女は覗き見が好きなのねぇ」 「あーら興味のある事には果敢に挑むのがツェルプストー家ですのよ? 保守的なヴァリエール家には真似できないでしょうねぇ」 お互いに牽制しながら昼食のパンやスープを口に運ぶキュルケとルイズ。 そしてそれをよそに一人黙々と本を読みながらサラダを食べるタバサ。 「(女三人寄れば何とやらと言うがなぁ…)」 目の前の卓を囲んだ状況はなんとも言えない異様な雰囲気であった。 「キュルケはわざわざ何しに来たのよ」 「朝起きたらタバサが出かける準備をしててね。ブルドンネの古本市に行くって言うからからついてったの。 私もついでに色んな人から貰ったプレゼントも結構な数になったし、そろそろ処分しなきゃねーって事で質屋に」 「…そろそろ刺されるわよ」 「あーら、話されない誘われない貰えない可哀想な人が何か言ってるわぁ」 「…~っ!ガンダム斬って!この女今すぐ斬り捨てて!何なら雷のあれ使ってもいいわ!」 「聞きたい事がある」 ぎゃあぎゃあ他の客の目も気にせず騒ぐルイズとキュルケに頭を痛めていたゼロに何者かが話しかける。 ふと見るとタバサがこちらを向いていた、しかもそのまま口に次々とサラダを放り込みつつ。 「あ、あぁ、こいつ等は暫く放って置いても大丈夫だろうし」 「貴方は何者?少なくともゴーレムじゃない」 「…何故そう思う?」 「一つ、ゴーレムは魔力で作る操り人形。意思は持たない。 二つ、意思を持つマジックアイテムだとしてもその可能性は低い。 動くだけならともかく、あの威力の雷を発するには膨大な魔力と複雑な機構を必要とする」 「…ご名答、だな。周りがそう言うからそうしているだけで、確かに俺はゴーレムじゃない。 俺はユニオン族という種族だ、厳密にはユニオン族ガンダム種で…まぁこれはいいか」 「ハルゲキニアでは聞かない名前、どこから来たの」 「……遠い、とても遠い場所としか言えないな」 「ロバ・アル・カリイエから?」 「ロバ…?」 「私達の住んでる大陸のずっと東、エルフのいる場所を越えた所をそう呼んでいる」 「まぁ、そんな所かな」 矢継ぎ早に質問をするタバサだが、そのペースは途切れる事は無い。 ついでにサラダを口に運ぶペースも途切れず、タバサの手元には何皿も皿が積まれていた。 「貴方の出した雷、あれについて聞きたい」 「俺の使う技だ、多分そっちでいう魔法とは違うと思う」 「何故、呪文や杖を使わず雷を出せるの?精霊と契約している?」 「俺はユニオン族の中でもごくごく少数の“雷の一族”という奴でな。 まぁどういうわけか修練を積むと先のように雷を扱える。半分血筋で出しているようなもんだ」 異世界なんて到底信じないだろうから(まず自分自体この世界の者にとっては信じられないだろうが) そこら辺だけはぼかしつつ自分の事を話すゼロ。 「…ありがとう、大体分かった。貴方も食べる?」 そう言うとタバサが皿をずいっ、とゼロの前に突き出した。 白い皿には深緑の柔らかそうな草がこんもりと盛られており青臭さがずっしりと匂ってくる。 質問に答えたお礼なのだろう、ならば一皿だけは…と思いそれを一口噛み締めた瞬間だった。 「…! ? !!!!!!ぐっ……」 例えようの無い苦味が口の中いっぱいに広がった、その苦味に一瞬悶絶しそうにはなるが何とか飲み込む。 「これは何だ…薬草の…類か?」 「はしばみ草、体にとてもいい」 壮絶な苦味に耐えつつ一皿を消化する頃には、キュルケとルイズの言い争いも静かになっていた。 が、昼食の後、枕やシーツ等ゼロの寝具を買っている所に事あるごとにキュルケが 「ヴァリエールよりいいの買ったげるから使い魔にならない? 使い魔になったら武器防具好きなの何でもドンと来いよ~」 とルイズをからかうように話しかけてきたせいで昼の言い争いが再燃してしまうという やっぱり頭の痛くなるような買い物になってしまった。 「…ったくツェルプストー家の女ってのはァ!」 「気持ちは分かるがルイズ、落ち着け」 「あーら、貴方も随分とお堅いのねェ」 「チャラチャラした奴は好かん」 街の外の停留所までやってきた四人、ゼロは背中に寝具とデルフ、手には鉄剣、すっかりフル装備状態であった。 「相棒ぉ~、馬に乗れるか?」 「大丈夫だ」 その様を心配し、話せるぐらいまで鞘を抜け出たデルフリンガーが話しかけてくる。 乗って来た馬の横にはタバサのシルフィードとキュルケのサラマンダーが暇そうに横になっていたが 四人の姿を認めると楽しそうな鳴き声で出迎えた。 馬にゼロが乗ろうとした途端、シルフィードがゼロをぱっくりと咥えその大きい背中にひょいと乗っけた。 「ななっ!何だ!?」 「シルフィードが乗せたがってるみたい」 そう言いながら背中にタバサが、いつの間にかゼロの後ろにサラマンダーが乗っていた。 「馬二頭いるのよ!?どうすんのよー!」 馬にまたがったルイズの叫びに応えるかのように、自分の背中に乗ろうとしていたキュルケを咥えると ゼロが乗っていた馬の横に置いた。 「ちょ、ちょっと私はこれで帰れっての!?」 「きゅいきゅいきゅいーっ!」 ひと鳴きするとシルフィードはその大きな翼をはためかせ上昇していった。 「あーら、ツェルプストー家の女は乗馬の一つも満足に出来ないのかしら?」 ルイズは嫌味たっぷりにそう言い放つと馬を走らせ去っていった。 「ふ…ふふふふ……ヴァリエール家のぺったん娘め、その言葉学院で後悔させてやるーっ!!」 一人残されたキュルケは素早く馬に跨ると燃えるような瞳をギラつかせながら馬を走らせルイズを追った。 「…馬に速度をあわせてくれると助かる」 「下を走る馬二頭、速度合わせ、高度そのまま」 「きゅい」 タバサの命令にシルフィードは答える様に短く鳴くと、馬に速度を合わせゆっくりと翼をはためかせた。 遥か下の街道ではルイズとキュルケの馬が抜きつ差しつつのデッドヒートを繰り広げている。 「気遣いはありがたいが、下があぁじゃなぁ…」 「今のは私じゃない、シルフィードがやった事」 申し訳無さそうなゼロに背びれに背を預け本を読んでいるタバサが答える。 「こいつが?」 「ご飯の面倒とか良く見てるから、そのお礼だと思う」 「きゅいきゅ~い!」 まさにそうだと言わんばかりにシルフィードは鳴いた。 「デカいのは分かるが、飼い主なら飯の面倒ぐらいちゃんと見ろ。こいつ大体の時間腹を空かしているぞ」 「方針は自給自足」 「…そうか」 「きゅい~…」 オレンジ色の太陽の光がシルフィードごとゼロを、タバサを、サラマンダーを照らす。 「流石にこの高度なら問題あるまい」 身に纏ったローブを脱ぎ、本来の姿を晒すゼロ。 「そうだ、デルフリンガー」 「どしたい相棒」 「俺の名前を言ってなかったな。俺はゼロガンダム」 「おぅ!じゃあこれからはゼロって呼ばせてもらうぜ!アンタも遠慮しねーでデルフって呼びな!」 「フッ…いきなりゼロとは図々しい奴だな。デルフ、よろしく頼む」 「図々しいのは余計だがあたぼうよ!」 暮れ行く夕日の光が、ゼロの鎧に反射し金色に輝いていた。 前ページ次ページルイズの魔龍伝
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戻る マジシャン ザ ルイズ 進む マジシャン ザ ルイズ (5)灰毛の誓い 「決闘だっ!!」 食堂にギーシュの絶叫がこだまする。 「いいかっ!貴様!貴族に逆らったことを後悔させてやる!」 ギーシュがシエスタの横の平民を指差して叫んでいる。 シエスタも、平民の男も、すっかり顔を青くしてガタガタと震えている。 ハルケギニアでは貴族は絶対、平民がそれに逆らうなど許されないのだ。 「待ちたまえ」 ギーシュがギ、ギ、ギと首を背後へと向ける。 そこにいたのは杖を持ち、色眼鏡をつけた髭のメイジ。 ゼロのルイズの使い魔、得体の知れないメイジ、ウルザの姿であった。 「その決闘、私が代わりに引き受けよう。」 哀れギーシュ、彼は今ヴェストリの広場でトライアングルメイジと目される男の前に立たされている。 周囲からは野次馬が集まり、遠巻きに眺めている。 当のギーシュはなぜこのようなことになったか分からないという風体である。 自分はシエスタのしたことの八つ当たりを平民にしようとしただけなのに……なぜこんなアブなそうな男の前に立たされているのだろう。 呆然としているのはギーシュだけではない、もう片方の決闘の当事者の保護者(?)であるルイズもであった。 「な、な、な、なんでこんなことになっているのよ!?」 「ふむ…話せば長いのだがね、少々迷惑をかけた者―――彼女だ、そのお詫びに彼女が被る筈だった泥を私が被ったということになる」 「まあいいわまあいいわまあいいわ!でも貴族同士の決闘は禁止されているのよ!」 「そうなのかね?私も記憶が曖昧なものでね、そういったことは分からなかったのだ。 それに、その法は私のように本当に貴族であるか分からない者にまで適用されるのかな?」 「そ、それはそうだけど………でもきっと、オールド・オスマンがお止めになるわ!」 「では、オスマン氏が止めるならば、決闘は取りやめよう」 その頃、院長室ではオスマンとロングビルが広場での騒ぎを眺めていた。 「オールド・オスマン、あのような決闘、お止めにならないのですか?」 「貴族同士の決闘なら兎も角、彼はメイジではあるがはっきりとした素性は分からない。そのような者との決闘は禁じられておらんからなぁ。」 「学院長がそう仰るのでしたら………」 ロングビルがオスマンの姿を確認する、そこにいるのはいつものオスマンに見える。 しかし、その瞳が何かに駆り立てられたように使い魔のメイジを見ていることに、疑念の感じずにはいられなかった。 「ちょっとぉ!オールド・オスマンは何をしてるのよ!何で止めに来ないのよっ!!」 オールド・オスマンの制止が無いまま、ギーシュが指定していた時間が直ぐそばまで迫っていた。 ギーシュの顔色は青を通り越して土気色である。 彼としても、こんな決闘はオスマンが認めないと思っていたのだ。 「さて、時間だ」 「ま!待ちなさい!」 長身のウルザの前に小柄なルイズが手を広げて立ちふさがる。 「一つだけ、一つだけ約束して頂戴っ!」 「おおっ!ルイズっ!君は分かってくれるんだね!今まで君の愛に気付かなくて御免よハニーっ!愛してるっ!」 ルイズが助けてくれると思ったギーシュは感動と彼女の愛の強さに痙攣してしまうのだった。 「ギーシュの命だけは助けてあげて頂戴!あとスプラッタみたいのも禁止!」 「へっ?」 「手加減か………得意ではないが、主人の命令だ、心得た。」 そうして決闘は始まってしまったのだった。 杖を下げ、構えを取らない使い魔メイジ、ウルザ。 一方、緊張の為に汗だくになりながら、ウルザの周りをじりじりを移動するギーシュ。 最初はドットである自分に、トライアングルであるメイジが本気を出すなんて無いと思っていた。 しかし、この男を正面から目にするとその甘い考えに疑問を覚えた。 この男は何処かおかしい、知っている他のメイジや、父親であるグラモン元帥、そして、この学校の教師達とも違う。 何かこう、違和感を感じるのだ。 ―――掛け違えたボタンをそのままにして歩いている人を見たときのような。 「いつでも来たまえ、まずは君が先行だ。」 「く、そっ!こうなったら………やってやるっ!」 ギーシュが懐からバラを取り出した。 「青銅のギーシュの力っ!思い知れっ!!」 ウルザの指がピクリと動いた。 「出でよっ!!ワルキューレッ!!」 「対抗呪文/Counterspell!」 ウルザが神速で杖を振り上げ何事かを唱えた。 生徒達に分かったのはそれだけだった。 そう、それしか起こらなかった。 ギーシュお得意のワルキューレの出現も、ウルザの魔法による攻撃も、何も。 「え!?え!?そんな馬鹿な、僕はちゃんと魔法を使ったぞ!」 正面の男は何も応えない。 「く、くそっ!怪しい術を使うなんてっ!こうなったら…もう一度だ!出でよ!ワルキューレ!」 「禁止!/Forbid!」 再び沈黙。 何も起こらない。 ギーシュも周りの生徒達も何が起こっているのか分からなかった。 「出でよ!」 「Force of Will!」 「このっ!」 「巻き直し!/Rewind!」 「えいっ!」 「マナ漏出!/Mana Leak!」 「とおっ!」 「放逐!/Dismiss!」 … …… ……… 暫くの間、この意味不明なやり取りが続いた。 流石にこの頃になると、生徒達も何かがおかしいと気付き始めたようである。 ギーシュは魔法を使っている、しかし、あのメイジが何かをしている為、何も起こっていないのだ。 既に発動した魔法を相殺するなら良くあることだ、しかし、発動すらしないとはどういうことだろうか。 ミシッ この時、ウルザが初めて、自分から一歩を踏み出した。 「では、そろそろ、良いかね?」 「ひっ、く、来るなぁっ!!」 半狂乱になりながらギーシュが放った薔薇。 これが決闘が始まって以来、初めて、ワルキューレへと変化を遂げた。 しかし、そのワルキューレはギーシュが本来生み出すそれより小さく、頼りなかった。 必殺の筈のそれは、ウルザに浅い傷を負わせることしか出来ない。 そうしているうちに、ウルザの呪文詠唱が終わった。 「灰色熊の召喚!/Summon Grizzly Bears!」 ∩___∩ |;;ノ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ /;;;;;;;●;;;;;;;;;●;;| クマ──!! |;;;;;;;;;;;;;;( _●_);;;;;ミ 彡、;;;;;;;;;;;|∪|;;;;;、;;;\ /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽノ;;;;/´ ;;; ) (___);;;;;;;;;;;/ (_/ |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/ |;;;;;;;/\;;;;\ |;;;;/ );;;;;) ∪ (;;;;;\ \;;;;;;) ※イメージ画像です 「………く、熊だああああああああああああああああああああっ!!!!」 「いやぁ!熊よっ!熊だわっ!」 「ちょっとっ!どいてよ!熊よっ!熊なんだから!」 「嫌だぁ!食われたくないぃ!」 「おがああああああああじゃああああああああん!!!!!!!!」 「きゃあああああああああああああああああっ!」 突然現れた熊を見た周囲の生徒達は蜘蛛の子を散らすように散り散りに逃げていく。 今、ヴェストリの広場はパニックのるつぼと化したのだった。 涎を垂らす熊の前には、哀れな犠牲者が一人……… 「そ、そんなっ!嘘だよねっ!食べたりしないよね!」 「クマー (※鳴き声のイメージです)」 灰色熊バゴスッ! ドミナリアの灰色熊から走って逃げてもむだだ。 追いつかれ、たたきのめされたあげくの果てに食われちまうのがオチだ。 もちろん、木に登るのは手だろうさ。 そうすれば、灰色熊が木を倒して君を食っちまう前に、ちょっとした風景を楽しめるからね。 ―――ギーシュ回顧録第三篇 戻る マジシャン ザ ルイズ 進む
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戻る マジシャン ザ ルイズ 進む マジシャン ザ ルイズ (4)狂熱の伝染 ルイズの失敗呪文の爆発に巻き込まれたプレインズウォーカーウルザであったが、実際はそれほど酷い怪我をしたわけではない。 強いて言うならゴブリンに殴られた程度である。 授業を担当していたシュヴルーズは医務室へ運ばれていったが、ウルザはそれを丁重に断った。 その後、授業はお開きとなり、その片付けをルイズとウルザがすることとなった。 二人はてきぱきと掃除をこなし、暫くすると教室も綺麗に片付いていた。 「ミスタ・ウルザ!ミスタ・ウルザ!」 慌しく走ってくるのは頭の禿げた教師、コルベールであった。 「ミスタ・コルベール?どうしたんですか?そんなに息を切らせて」 「ミ、ミス・ヴァリエール。ミスタ・ウルザをお借りしてもよろしいかな?大発見なのだよ!これは!」 「え、それって一体…」 「それでは借りていきますよ!これは大発見ですぞーっ!!」 「…どうやら同行する外に無いようだな」 トリステイン魔法学院、院長室。 そこには今三人の魔法使い達がいた。 一人は異世界からの来訪者ウルザ、一人は学院の良識派教師コルベール、そしてもう一人は学院の長オールド・オスマンである。 「それで、これは本当かねミスタ・コルベール」 「ええ!本当ですとも!ミスタ・ウルザ、左手を前に」 言われてウルザは左手を突き出す。 「おお…確かにこれはガンダールヴのルーンじゃ!」 これには流石のオールド・オスマンも興奮を隠し切れない。 こうして二人が興奮している姿を目にしていると……ウルザの心にも不思議と高揚するものがあった。 「お二人には話してもよろしいでしょう…このガンダールヴなるルーンの効果、一部すでに解読が済んでおります」 「「おおっ!なんと!!」」 かつてドミナリアのトレイリアのアカデミーで、バリンやジェイラと過ごした日々のように、ウルザは両手を開き、自分の考えを披露しはじめる。 それを聞くオスマンとコルベールも熱を帯び始める。 「…と言うのが現在までの、!」 「しかし!ミスタ・ウルザ!それだけの効果がありながら永続、いや!そもそもそれはいかなる系統の魔法で、!」 「いや!ミスタ・ウルザ!一体いかなる解読法で、!」 「それを話すには些か込み入った、私自身の事情をお話せねばなりません…お二人とも、突飛な話となりますが、」 「ええ!構いませんとも!」 この後、暫くの間、三人の大声での議論が続いている、そして怒号のような時間が終わった後、出てきたコルベールとウルザがニコニコと子供のような笑顔であったと後にロングビルが語っている。 久方振りに気分が晴れ渡っているウルザである。 しかし、食堂を歩いている時に、その気分に水を挿す様な出来事が起こった。 「きゃっ!!」 給仕をしていたメイドが、コップの水をウルザの顔面にご馳走してしまったのである。 果たして、この時ウルザがどのような形相であったか…それを知るのはその場にいたのはメイドの娘―シエスタだけである。 「………ひぃっ!!」 良い気分だったことは事実であるが、それに水を挿された程度でこの態度は大人気ない。 そのことに気付いたウルザは、普段の顔つきに戻り、腰を抜かしているシエスタに手を伸ばした。 「すまない、少々考え事をしていたのだ」 「どっ!どうか命だけはご勘弁を!ご容赦ください!貴族の方にこのような粗相を、私…、私…っ!」 「私は別に君をどうこうしようというつもりは無い、顔を上げたまえ」 しゃくり上げるシエスタを起こし「侘びならば、何か飲み物を貰おう」と伝えると、シエスタは厨房へと走っていったのだった。 椅子に座り、暫く待つと、厨房からシエスタが戻ってきてウルザに飲み物を差し出した。 厨房で整えてきたのか、先ほどまで泣いていたとは分からないようになっていた。 しかし、まだショックから立ち直っていないのか足元がふらふらとしている。 人間、悪いことは続くものである。 ふらふらとシエスタがあるグループの生徒―ギーシュ、モンモランシー、ケティ達に近づいたときに事件は起こった。 シエスタが足を踏み外し、ギーシュに後ろから抱きつくように倒れこんでしまったのだ。 「ぬおお!やわら大きい!!」 そのまま二人して倒れこんでしまったのだが、ここで事態は最悪の展開を迎える。 ギーシュを追求していたモンモランシーとケティが見たものは、巨乳のメイドに抱きつかれ嬉しそうにしているギーシュと、その懐から落ちた多数の封筒であった。 「ギーシュ!!あんた!二股どころか、なんて数モーションかけてんのよ!!」 「ギーシュ様酷いです!見損ないました!」 「ま、待ちたまえ!これには深い事情が!!」 「「問答無用!」」 と言ったやり取りがあった後、シエスタはギーシュにひたすら謝っていた。 「申し訳ありません!申し訳ありません!」 「いや、しかし、君、謝って済む問題と済まない問題があるとは…」 本当は目の前のメイドに怒りをぶつけたいギーシュである。 しかし、目の前にいるのは女性、例え平民であってもそのような態度に出るのは抵抗がある。 だが、ここで第三者が現れる。 厨房から現れた男がシエスタの横で謝り始めたのだ。 これはことギーシュ相手には逆効果であった。 シエスタにはぶつけられなくとも、平民の男に怒りをぶつけるのには躊躇しない。ギーシュ・ド・グラモン、男である。 「決闘だっ!!」 思ったことを言うのは悪いことじゃない。その結果が悪いだけなんだ。 ――青銅の魔道師見習い、ギーシュ 戻る マジシャン ザ ルイズ 進む